中小企業のフランチャイズ戦略

中小企業経営者にとって、5年10年先のわが社のビジョンを持つことはとても大切なことです。しかし、世間情勢・景気・法律など、自分自身の努力ではどうにもならない要素も多く、いくら計画を作っても、その通りにならないことの方が多いかもしれません。従業員を雇用している限り、経営者には従業員の家族を含め、生活を支える責任があります。不安定な業況を少しでも安定化させるために、新規事業への取り組みは必須と言えます。

さて、とはいえ本業だけでも大変な中、新規事業に取り組むことは至難の業とも言えます。そこで、今回のザ・ビジネスモール特集では、中小企業が取り組みやすい新規事業としてフランチャイズビジネスを取り上げ、その成功事例をご紹介しながら、取り組みのポイントをつかんでいただきたいと思います。

1.フランチャイズ市場の展望
日本フランチャイズチェーン協会が昨年秋に発表した『2012年度「JFAフランチャイズチェーン統計調査」』によると、日本国内のフランチャイズチェーン数は前年度比プラス2%で、3年連続の増加。また、国内店舗数はプラス2.7%と4年連続増加、売上高はプラス2.8%と3年連続のプラス成長となりました。売上高比で見ると、国内のフランチャイズ業界の約70%が小売業(42%はコンビニエンスストア)、18%が外食産業、12%がサービス業となっています。

2.中小企業がフランチャイズに取り組むメリット
フランチャイズビジネスの良い面として、ある程度ビジネスの枠組みが出来上がっているため、初期投資が少なくて済むということがあります。また、もともとブランドイメージがチェーン全体の売上にとって大切であり、フランチャイザー提供の効果的な販売促進策が期待できるため、個店が販売に集中でき、広告などの投資を抑えることが可能です。加えて、フランチャイザーのサポートによりはじめからある程度市場性のある出店が可能であり、一から事業を興すのに比べリスクの少ない事業展開ができると言えるでしょう。

3.サービス業におけるフランチャイズビジネス
「近年、サービス業は消費者ニーズの多様化を背景に幅広い分野でフランチャイズ化が進んでおり、特に、少子高齢化、健康志向を反映した教育事業や介護関連事業の業態でフランチャイズ化が拡大している」(2012年度「JFAフランチャイズチェーン統計調査」より抜粋)

ここで書かれている教育事業において、塾経営というフランチャイズビジネスの成功事例をご紹介したいと思います。フランチャイザーは全国に学習塾「Dr.関塾」を展開する株式会社関塾。 今回ご紹介するのは、京都府と奈良県にまたがる木津川町でフランチャイズ方式の教室を3校運営されている「株式会社Aluco」様の事例です。取材記事をご覧いただいたあと、成功のポイントをまとめたいと思います。それではご覧下さい。

実例紹介「株式会社Aluco」様

実例紹介「株式会社Aluco」様

京都と奈良の境に広がる木津川町。そこはかつて、平城京の次の都である恭仁京(くにきょう)が置かれた交通の要所です。その悠久の地は、今では関西文化学術研究都市のニュータウン開発などにより、全国でも有数の人口増加率を誇る少子化知らずの町。そこにはのどかな田園地帯に子供たちの元気な声が響いています。 今回、この地で学習塾「Dr.関塾」を3校運営されている株式会社Aluco(アルコ)様を訪ねました。 場所は国道沿いに広がる田園地帯を見渡すギフトショップの2階、「Dr.関塾木津本町校」。社長の大倉竹次(おおくらたけじ)さんと、息子さんで塾頭の大倉和也(おおくらかずや)さんにお話しを伺いました。


洋品店からフランチャイズのギフトショップ開店、そして時代は・・


―はじめに、塾を開校された経緯をお聞かせ頂けますか?
大倉竹次氏:「ちょっと古い話から始まるのですが(笑)。私の父親は地元で不動産業を営んでおり、そのかたわら、洋品店も経営しておりました。しかし、父は忙しくてほとんど洋品店におらず、店は母にまかせっきりでした。私としては、何とか母を助けたくて、学校卒業と同時に洋品店を手伝い始めたんです。しかし、時代とともに世間のニーズも変わり、昔ながらの洋品店では経営が苦しく、『何か新しい事業を』と考え、1990年に当時目新しかったフランチャイズ方式のギフトショップを開店しました。香典返しなど、葬祭関係のギフトが好調で売上げを伸ばし、2店舗目、3店舗目と増やしていく計画を心に描いていたんです。 でも、思いもよらないことに、ここ10年ぐらいで葬儀の際の香典を辞退する風潮が一気に広がって、香典返しが激減しました。ギフトショップでは葬祭関係の売り上げが一番大きかったので、商売を広げるどころか維持すら難しくなり、再び『何か新しい事業を』と考えていたところに、学習塾Dr.関塾さんのダイレクトメールを見て、『これだ!』とピンと来たんです。」

―ギフトショップと学習塾経営では業態は違いますが、学習塾経営に着手することに不安はありませんでしたか?
大倉竹次氏:「実は塾経営について考えたのはそのときが初めてではなく、以前に一度関塾さんとご縁があり、市場調査まで話が進んだことがありました。しかし、当時はあまり子どもの数が見込めず、残念ながら諦めたんです。今回お電話したところ、すぐに当時と同じ方が駆けつけて下さり、前回同様に、しっかり市場調査していただきました。周辺地域のニュータウン開発でどんどん子どもが増えてきていましたから、今なら絶対うまく行くと自信が持てました。」


初めての塾経営、しっかり支えてくれたのはフランチャイズ本部と、つながる人の輪


―なるほど、しっかり周りの状況や市場調査を踏まえて、確信をもって始められたのですね。当時の状況は、実際に運営をされている息子さんはどうご覧になっていましたか?
大倉和也氏:「小さい頃から祖父や父を見て、地元に根を張った商売をしようという考えを自然と持っていました。自分自身も大学卒業後に自営で商売を始めていましたが、父がギフトショップ経営に加え、塾の開校で走り回っているのを見て、よし、ここは俺の出番だ!位の気持ちで塾頭を引き受けました。」

―洋品店経営を引き受けたお父様を彷彿とさせるエピソードですね。初めての塾経営ではご苦労などありませんでしたか?
大倉和也氏:「塾頭を引き受けた当時、はじめは何もわからなくて、一つ一つ
Dr.関塾本部の方に教えてもらいました。当時は大変だった記憶もあるのですが、今では楽しい思い出です。大学の友人が教室の運営を手伝ってくれるようになり、今では彼に一校目の木津州見台校の教室長を任せています。場所が良かったこともあり、木津州見台校はすぐにいっぱいになり、次の場所探しが始まりました。 そしたら、ここのギフトショップの2階が使えそうだということになって、二校目の木津本町校を開校しました。教室長は、他所の塾で経験がある、小・中学校からの友人にお願いしました。彼には一校目の木津州見台校をスタートしてからずっと色々と相談に乗ってもらっていたので、何かと心強かったです。 2013年春には、Dr.関塾さんのご紹介で知り合ったオーナーさんから、教室を丸ごと引き継いで欲しいというお話を頂き、三校目の三条大路校開校となりました。木津本町校の教室長から良い人材を紹介してもらえたので、人事面もスムーズに進みました。良い人さえ見つかれば、四校目もきっと開校できると思っています。」


必要な事をサポートしてくれるフランチャイズ方式で素人でも軌道に乗せる事ができた


―息子さんが塾をどんどん展開されて、お父様としては心強いですね。
大倉竹次氏:「他の事業でも同じですが、塾経営も良い人との出会いがなければ絶対にうまく行かないと思います。その点、こんなに良い教室長たちと巡り合えたこと、本当にラッキーだったと思っています。私がやれなかった多店舗展開を、息子が3年という短い時間でできた一番のポイントは、そこだったと思います。 そして、Dr.関塾本部さんのサポートがなければ塾経営の素人がこんなに早くに軌道に乗せることはできなかったと思います。必要なことを過不足なくサポートしてくれるDr.関塾のフランチャイズ方式は、うちにぴったりだったと感じています。 あと、もうひとつ大切なことがあります。それは、地元の為に真面目に努力する気持ちだと思います。今もギフトショップの一角で続けている洋品店では、学校の制服や体操服を販売しています。おつりと一緒に塾のチラシをお渡しすると、『あんたのところがやってるんやったら安心して子供(孫)を通わせられる』と言っていただきます。これこそ、先祖代々この地で真面目に商売を続けてきた信用の賜物と感謝しています。」

大倉和也氏:「私も塾頭として、地元で子供たちを育てる責任とやりがいを感じています。早くに亡くなった母も、きっとこの事業をすることを喜んでいてくれていると思います。しかし、塾の成功は周りの人のお蔭と思います。教室長を任せられる人がいるからこそ、安心して次の開校に取り組めるんだと思います。今の自分に満足せず、人や家族のつながりを大切に、どんどん新しい事業に取り組んで行きたいと思っています。」


―そういえば、塾頭の和也さんは、次男さんとお伺いしましたが。
大倉竹次氏:「長男は大阪市内でWeb事業の会社を興しています。実は、私のギフトショップ、長男のWeb事業、次男の塾 と3つの事業を柱にして、株式会社Alucoは営業させていただいているんです。AlucoはAlways useful company(いつもお役に立つ会社)という意味もあるのですが、逆から読むと『オークラ』となって、私たちの苗字なんですよ。なかなかうまいネーミングでしょ(笑)。 今まで色々な事業をやってきましたが、時代の波で浮き沈みがあり苦しいこともたくさんありました。そこで、事業を多角化し、会社の安定経営を図っていこうと株式会社化しています。これからも、みんなで力を合わせ、地域のためにそれぞれの分野で真面目に事業に取り組み、親子で支えあっていきたいと思っています。」


―すてきなお話をありがとうございました。今後ますますのご発展をお祈り申し上げております。


中小企業がフランチャイズビジネスで成功するために

株式会社Aluco様は、教育事業の経験は全くありませんでした。ただし、実際の教室運営は、信用できる教育経験者が担っています。オーナーとして事業を始める際、自分自身が事業を行うのか、誰かに任せるのかが問題になります。新しくフランチャイズビジネスを始める際は、開業する業種に経験や実績のある人材がいるかどうかが大切なポイントと言えるでしょう。 また、人と対面する業種の場合は立地が大切なポイントです。フランチャイズビジネスでは、フランチャイザーが立地審査や市場調査のデータを持っていることが多いので、大いに活用しましょう。 株式会社Aluco様では、3校目は別オーナーさんからの教室譲渡のお話でした。オーナー間の情報交換も、いろいろなビジネス連携のために大切な機会になりますね。


株式会社Aluco 代表取締役 大倉竹次 氏
時代の流れに沿って、ギフトショップ、
フランチャイズを活用した多角経営を展開する。


関塾