ハブラシの常識をくるっと覆す！回転歯ブラシ

クルン株式会社は港区波除にある創業３年目、従業員５人の歯ブラシ製造事業所である。縦横に早く力強くブラッシングする人もいれば、さっさと簡単にブラッシングを終えてしまう人もいるだろうし、口内に疾患を持つ場合など歯ブラシの使い方は様々である。
同社はローラー状に植毛されたブラシを先端に取り付けた歯ブラシ“クル・・ン”（商品名）を製造販売している。この“クル・・ン“の最大の特徴は軽く、するすると転がすように歯と歯茎を往復するだけで、掃除ができてしまう点だ。（現在歯医者が指導している、毛先を動かさずに小刻みに磨くことを、この一本は、軽く転がすだけで実現する。転がすだけで常に歯垢に対して90度に当てることが出来るからである。）歯磨き粉すら必要ないかもしれない。ブラシには超極細の毛が２万本、通常歯ブラシの約20倍の植毛（２連のローラーの場合３万本　約30倍の植毛）高密度植毛されていて、歯垢は擦り取らずに吸着させて取り除く。マッサージ効果も期待され唾液の分泌も促され、唾液の洗浄作用、抗菌作用が期待できる。
いうまでもなく歯ブラシは歯や歯茎の健康を維持するためにも、生活必需品であり、消耗品である。市場は全国民と考えていい。過去２年で年間30万本を売り上げているが、さらにネット通販やスーパーマーケットなどへ販路拡大への取り組みを続けている。目下の課題は、従来の歯ブラシは「擦る」という既成概念への挑戦と原材料費の低減、利益確保。斬新なアイデアであるため、これまでの歯ブラシの使用の概念を覆すほどの効果的なアピールと販売価格とのバランス、抵抗のないデザインが望まれる。また、昨今、為替相場が不安定なため、円安に振れる局面では売上原価の上昇を招き、材料を輸入に頼る同社としては影響が大きく、安定した利益率の確保が急務だ。
５月末にインテックス大阪で開催された“中小企業総合展”にも出展し、来場者からの注目度は高く良い商談も多かったという感想を聞いた。10月にマイドームおおさかで開催する“大阪勧業展２０１３”にも出展を決めてもらった。大商西支部は各種経営相談や販路拡大支援を通じて応援していきたいと思う。（西支部）
（※ニューズレター266号（発行：大阪商工会議所）より抜粋）